COLUMN コラム

公示送達の注意点

何らかのトラブルで裁判を始めたいという場合に、まずやらなくてはならないのが相手方に裁判所からの訴状を送ることです。通常は、郵便局員が直接相手に手渡し、受け取りのサイン(押印または署名)を取得する「特別送達」が行われます。受け取りのサインを取得して初めて、「特別送達」が完了したことになり、財産開示手続きや債権執行手続きを含む強制執行手続きや裁判を進められるようになります。

しかし、相手の居所が不明だった場合はどうすればよいのでしょうか?

相手の住所や勤め先がわからず、訴状をどこに送ればよいのか不明な場合、あるいは相手が死亡し相続人が誰か不明な場合、「公示送達」という送達手続き方法を使うことができます。

(被告の住所や就業先などが判明しているにも関わらず、居留守などを使われて通常の送達(=特別送達)で送った訴状が受理されなかった場合は、「付郵便送達」を利用します。詳しくは別のコラム「付郵便送達を行う際の注意点」でご紹介していますので、そちらをご覧ください。)

裁判所が公示送達を認める判断をした場合、裁判所の掲示板に訴状など相手方に送付するはずだった書面が掲示されます。掲示期間が2週間経過すると、送達が完了したのと同じ効力が発生することになります。

実際、相手が裁判所の掲示板を見ることなどほぼないでしょう。つまり、公示送達ではほとんどの場合、相手が訴訟を起こされていることを知らないままになってしまいます。これは相手にとっては大変不利な状況ですよね。そのため、裁判所は簡単には公示送達を認めません。裁判所に公示送達を認めてもらうためには、相手の居所が不明なことを証明するための住居所調査など、クリアすべき様々な条件や注意点があり、大変な労力が必要になります。

具体的に、公示送達制度を利用する上での注意点を解説していきましょう。

「相手の所在が不明」の条件を満たしていないと、上訴される可能性がある

先ほども述べた通り、公示送達の申立てができる大前提は、「相手の居所が不明なこと」です。相手の所在が分かっているのにもかかわらず公示送達を行ってしまった場合には、民事訴訟法97条の規定に従い、相手は判決に対して上訴することが認められます。

ただ、「相手の所在が不明なこと」を証明するのは難しいものです。さらに「所在の可能性がある」場所となると、一か所では終わらず、数か所に及ぶことがほとんど。すべて現地調査して、「いない」ことを書面で裁判所に証明しなくてはなりません。

実際の現地調査では、以下のような確認を行い、相手がそこに住んでいないことを証明していくことになります。

  • 表札の確認
  • 呼び鈴を鳴らしたときの応対の確認
  • 郵便受けの確認
  • 電気メーターの確認
  • 水道/ガスメーターの確認
  • 洗濯物の確認
  • 窓の確認
  • 車両や自転車などの確認
  • 直接訪問
  • 関係者/近隣者/共同住宅所有者/管理会社への聞き込み
  • 根拠を示す写真撮影

こんな調査を数か所分行わなければならないと思うと、うんざりしてしまいますよね。この住居所調査は、原告自身で行うか、弁護士や司法書士、探偵事務所などに依頼することになります。遠方の調査になった場合の原告・弁護士・司法書士の皆さまの負担はかなり大きいものになってしまいます。

この住居所調査は、プロである探偵事務所に依頼するのがおすすめです。付郵便送達と公示送達のための現地調査が得意な探偵事務所を依頼先として選ぶとスムーズでしょう。見積もりを取ってコストを確認することも重要です。クローバー総合調査でも、弁護士様・司法書士様を対象とした「付郵便送達・公示送達用現地調査サービス」を提供しています。付郵便送達と公示送達のための現地調査において、関西圏ではナンバーワンの実績を誇るスペシャリストです。コストが非常に明快&リーズナブルなのも特長。住居所調査は、基本的に一律「27,500円+交通費」で承っています。

擬制自白は成立しない

「擬制自白」とは俗に「欠席裁判」と呼ばれているものです。一般的に、民事訴訟において被告が欠席した場合、原告が勝訴するという制度です。

ところが、公示送達で訴状などが送達された場合、擬制自白は適用されないことを知っておかなくてはなりません。

先にも述べました通り、公示送達が認められると、被告は訴訟を起こされていることを知らないまま裁判が進むことが多く、非常に不利な状況に陥ります。あまりに原告に有利な判決にならないためにも、公示送達の場合は「擬制自白」が認められず、「証拠による立証」が求められるのです。

とはいえ、証拠もなく訴訟を始めることはほぼあり得ませんね。よって、公示送達の場合でもかなりの確率で原告の勝訴になることが予測されます。

「公示送達の注意点」ご理解いただけたでしょうか?被告の所在が不明な場合でも、訴訟をあきらめることなく「公示送達」を上手に活用しましょう。被告の住所や就業先などは判明しているのに、居留守を使われたり不在票を無視され続けたりして通常の送達が完了しない場合に利用できる「付郵便送達」を行う際の注意点については、コラム「付郵便送達を行う際の注意点」で解説していますので、合わせてご覧ください。

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