COLUMN コラム

裁判所に付郵便送達を認めてもらうための条件とは?

民事訴訟や財産開示手続き・債権執行手続きなどの強制執行手続き等を進めるにあたって、まずやらなければならないのが「送達」です。

送達とは、「当事者その他訴訟関係人に対して、訴訟上の書類の内容を了知させるために、法定の方式に従って書類を交付し、または交付を受ける機会を与える裁判所の訴訟行為」のことです。要するに、裁判所が正式な形で当事者あてに通知書類を送り届けることを言います。

通常ですと、送達は裁判所から相手側の住所に郵便で送られます。訴状などの書類を入れた封筒には、「特別送達」と大きくハンコが押されており、裁判所からの書類であることがすぐに受け取り手に伝わるようになっています。特別送達は、郵便局員から直接被告人に手渡されます。そして、本人が受け取ったことを証明する受け取りのサイン(押印または署名)がなされることで完了します。

原則、送達は相手側の住所や居場所に送られることになっています。しかし、住所はわからないけれど勤務先はわかる、という場合や、住所・居場所への送達を行ったにもかかわらず相手側が居留守を使ったり不在票を無視したりすることで特別送達が完了しない、という場合には、就業先への送達「就業場所送達」が認められます。就業場所送達では、被告人が就業場所(勤務先など)にいなくても、他の従業員等に交付することができます。また、従業員が理由もなく受け取りを拒否する場合には、書類をおいてきても良いことになっています(民訴106条2項。補充送達・差し置き送達)。

特別送達が受け取られず、就業先も不明な場合には、原告側は「付郵便送達」という方法を利用することができます。(住所も就業場所も不明で、どこに書類を送ってよいかわからない、という場合には「公示送達」という制度を使います。詳しくは別コラム「付郵便送達と公示送達」で両者の詳しい違いをご紹介しています。)

付郵便送達は、別名「書留送達」とも呼ばれ、普通郵便を書留郵便に付する形で発送することで、相手方に送達されたとみなされます。実際に被告側が書類を受け取ったかどうかに関わらず、原告側は裁判の準備を開始できるようになります。

ただし、付郵便送達は、あくまで「特別送達も就業場所送達も試みたけれど送達が完了しない場合」に使える手段。裁判所に付郵便送達を認めてもらうには、念入りな調査を行って、以下のことを証明しなくてはなりません。

・受送達者(被告)が、付郵便送達先である住所地に確実に居住していること

・受送達者(被告)の就業場所が不明であること

この証明のための調査は、大変な労力と時間を要するもので、原告の皆さまや原告側の弁護士・司法書士を悩みのタネになっています。

実際どのような調査を行うのか、具体的に解説していきましょう。

住所地での実在調査

付郵便送達のための調査でまず行うのが、住居所調査です。送達先の住居所に被告が居住していること(生活の実態がそこにあること)を証明するための現地調査を行います。さらに調査内容を「住居所調査報告書」としてまとめ、裁判所に提出します。

具体的な調査項目は以下のようなものになります。

  • 被告の最新の住民票の取得
  • 表札の確認
  • 呼び鈴を鳴らしたときの応対の確認
  • 郵便受けの確認
  • 電気メーターの確認
  • 水道/ガスメーターの確認
  • 洗濯物の確認
  • 窓の確認
  • 車両や自転車などの確認
  • 直接訪問
  • 関係者/近隣者/共同住宅所有者/管理会社への聞き込み
  • 根拠を示す写真撮影

調査のプロでない限り、住居所調査と住居所調査報告書の作成は、かなり骨が折れる難しい作業です。被告がタワーマンション居住者だったり、他人の家に居候していたりする場合、調査はさらに困難を極めます。

就業場所の在籍調査

原告側と被告側で過去に仕事上の取引があった場合、契約書などから相手の就業場所を知ることができます。しかし、詐欺事件などの場合、契約書に記載されている住所が虚偽である可能性もあります。また、既に退職しその就業先には在籍していない、という場合もあり得ます。いずれにしても、実際に調査を行ってその就業先に被告がいない、ということを証明することが、付郵便送達を裁判所に認めてもらう条件の一つです。

送達手続きの重要性

送達が正しくなされることは、民事訴訟において大変重要視される必要条件です。なぜなら、送達を確実に行うことは、被告側にも反論・反証・主張・立証・異議申し立てなどの機会と時間を公平に与え、裁判の平等性・信頼性を保つための大前提となるからです。

送達される書類は、訴状の他、判決書や不動産競売開始決定、支払督促・債権差押命令など、被告の人生を左右しかねない重要なものばかり。さらに、異議申立てや控訴に関する期間も、送達完了の日からカウントが始まります。

そのため、裁判所が送達を正しく行われていない・違法性があると判断した場合には、原告は申し立てを取り下げなければならなかったり、裁判が停滞・やりなおしになったりすることがあります。また、相手から判決に対して上訴される場合もあるでしょう。

強制執行手続きや訴訟の開始を焦るあまり、虚偽の報告書・不完全な報告書を提出してしまわないように、十分な調査を行う必要があります。

付郵便送達のための調査はプロに任せよう

付郵便送達のための住居所調査は、原告ご自身が行うこともできますが、慣れない調査作業を一般の方が行うのは実際のところ難しいでしょう。遠方の調査だった場合、泊まり込みになることも多く、精神的にも肉体的にも疲弊してしまいます。また、調査に不慣れなことで思うような調査結果を得られないことも多いと思われます。

住居所調査は、弁護士や司法書士・探偵事務所などに依頼することができるので、自分で何とかしようとせず、ぜひプロの力を借りてください。

クローバー総合調査でも、弁護士様・司法書士様を対象に「付郵便送達・公示送達用現地調査サービス」を行っており、関西・関東のほぼ全域を対象エリアに調査実績を重ねています。

明確なコスト提示・質の高い調査と報告書・迅速な対応が高い評価を受け、付郵便送達・公示送達用現地調査サービスにおいて関西圏ナンバーワンの実績をあげることができました。

おかげさまで全国の弁護士様・司法書士様から幅広くご利用いただいており、たくさんの方がリピーターになってくださっています。財産開示・債権執行の申し立てや裁判を進めたいのに送達が完了しない、とお悩みでしたら、私たちクローバー総合調査にお気軽にご相談ください。「付郵便送達・公示送達用現地調査サービス」のお見積り・ご相談は無料です。早期問題解決を目指し、プロならではの視点で弁護士様・司法書士様のお仕事を強力にバックアップいたします。

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