COLUMN コラム
自分で聞き込み調査を行うリスクと限界
弁護士や司法書士の先生方が受任される訴訟や債権回収の現場において、「相手方の所在不明」は避けて通れない障壁です。訴状や支払督促を送達したくても、住民票上の住所に居住実態がない、あるいは居留守を使われている場合、手続きは膠着します。この打開策として「付郵便送達」や「公示送達」がありますが、その申し立てには裁判所を納得させる高度な「現地調査報告書」が不可欠です。 依頼者の費用負担軽減や迅速な解決を願うあまり、先生方ご自身や事務職員の方が現地へ赴き、聞き込み調査を試みるケースがあります。
しかし、依頼者の費用負担軽減や迅速な解決を願うあまり、先生方ご自身や事務局の方が現地へ赴き、調査を試みるケースが散見されます。そこには、法的権限の限界や予期せぬトラブル、そして「費用対効果」という観点での大きなリスクが潜んでいます。本記事では、実務調査における法的・実務的リスクを整理し、なぜ専門の調査会社へのアウトソーシングが合理的と言えるのか、その根拠を詳述します。
弁護士・司法書士の「調査権限」と現場での法的制約
まず、弁護士や司法書士が持つ法的権限の範囲と、現場での実力行使の限界について、明確に区別して理解する必要があります。
弁護士法第二十三条の二(弁護士会照会)の限界
弁護士法第二十三条の二に基づく「弁護士会照会」は強力な情報収集手段ですが、これはあくまで「文書による照会」に限られます。関係各所へ報告を求める権利であり、物理的な「実地調査権」や「捜索権」ではありません。現場で管理人にオートロックを開けさせたり、近隣住民に証言を強要したりする権限は、法律上どこにも規定されていないのです。あくまで私人の任意の協力に依存する活動であり、拒否されればそれ以上の追及はできないという現実があります。
警察の捜査権との決定的相違
一般市民はスーツ姿の人物に対し、警察官のような公的権限をイメージしがちです。しかし、警察官が刑事訴訟法に基づいて行う強制捜査や、警察官職務執行法に基づく職務質問とは異なり、弁護士の調査には法的強制力が一切ありません。 相手方が「帰ってくれ」と言えば直ちに退去する義務があり、無視すれば刑法上の不退去罪に問われかねません。また、無断で敷地に入れば住居侵入罪のリスクも生じます。捜査機関なら許容される行為も、私人である弁護士が行えば違法行為となり得るのです。
プライバシー権と個人情報保護法の壁
個人情報保護法の浸透により、市民のプライバシー意識は極めて高くなっています。かつてのように隣近所の情報を気軽に話す住民は激減し、「他人のことを話してトラブルに巻き込まれたくない」という防衛本能が働きます。 また、聞き込みの際、対象者の氏名や事情(借金や訴訟など)を第三者に漏らすことは、対象者のプライバシー権を侵害する名誉毀損や不法行為に該当する恐れがあります。正当な業務目的であっても、聞き込みによって第三者に情報を開示してしまうことは、守秘義務の観点からも極めてリスキーな行為と言えます。
実地調査における具体的なリスクファクター
法的な権利関係を踏まえた上で、実際に現場で発生しうるトラブルやリスクについて要点を絞って解説します。
法的リスク:不法侵入と通報の連鎖
オートロックへの「共連れ」侵入や、敷地内の覗き込みは、たとえ業務目的でも建造物侵入罪や軽犯罪法に抵触する恐れがあります。また、不慣れな張り込みや徘徊は、近隣住民に不審者と認識され即座に通報されます。警察官による職務質問や事情聴取は長時間に及び、業務停止のみならず、「あの事務所は何かトラブルを起こした」という風評被害まで招くリスクがあります。
業務リスク:対象者の逃亡とスタッフの疲弊
不用意な直球の聞き込みは、隣人を通じて対象者に「探されている」事実を露呈させます。これを察知した対象者が逃亡・財産隠匿に走れば、訴訟自体が無意味化します。また、過酷な現場調査を事務員に強いることは、労働問題や離職リスクにも直結するため、組織運営上のデメリットも甚大です。
裁判所で「却下」されやすい報告書の共通点
苦労して自力調査を行っても、報告書の質が低ければ裁判所は送達を認めません。ここでは、再調査(=二度手間)になりやすい「欠陥報告書」の特徴を挙げます。
証拠写真の不備と客観性の欠如
裁判所は「視覚的な証拠」を重視します。よくある不備が、写真の撮り方です。
・日付がない: いつの状況か特定できない。
・アングルが不適切: 郵便受けの中身(郵便物の滞留状況)が見えない、メーターの数値が読めない。
・全体像の欠如: 建物全体の状況が分からず、対象物件かどうかの特定が曖昧。 プロは、広角と接写を使い分け、全ての写真に日時を記録しますが、不慣れな撮影では「疎明資料として不十分」と判断されるケースが多発します。
「推測」と「事実」の混同
報告書の文章において、「〜と思われる」「〜のようだ」といった推測表現は嫌われます。裁判所が求めているのは、「郵便受けにチラシが〇枚溜まっている」「ガスメーターが〇日間動いていない」といった確定的な事実の積み上げです。 また、聞き込み結果についても、「近所の人は知らないと言っていた」だけでは不十分です。「〇号室の居住者(40代女性)に対し、対象者の写真を示して確認したが、見かけたことは一度もないとの回答を得た」といった具合に、聴取対象・方法・結果を具体的に記述する必要があります。この作法を守れていない報告書は、書記官からの補正指示を招き、送達決定を遅らせる主因となります。
まとめ
弁護士や司法書士が、コスト削減や迅速性を求めて自ら聞き込み調査を行うことは、法的リスクの増大、業務の停滞、訴訟遅延を招く結果となりかねません。特にタイムチャージの高い先生方が調査に時間を割くことは、経済的にも大きな損失です。 住居侵入やプライバシー侵害といった法的地雷原を避け、裁判所が求める厳格な要件を満たす報告書を確実に入手するには、その道のプロである調査会社の活用が不可欠です。専門特化した調査会社への依頼は、先生方の貴重な時間を守り、依頼者の利益を最大化するための最良の戦略投資です。 「餅は餅屋」、調査は調査のプロへ。確実な証拠収集とリスク回避のために、信頼できるパートナーを見つけることを強く推奨いたします。
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